退去費が払えない
自律神経失調症でなにも出来なくなって、会社の借り上げアパートを退去する時のこと。
ほんとうに、出て行くだけでお金がかかってしまう。
もう給料も出なくなるし、ローンの支払いとかでほぼお金なんてない。
なにもかも売ったり捨てたりして、身ひとつになりました。
家具の大部分はリサイクルショップに引き取ってもらった。
服も
まず売れないだろうな〜
ってものも全部引き取ってもらった。
それでもわたしは気に入ってきていたやつだったのだけど。
自動車を持っていたのは運が良かったです。
粗大ゴミもお金がかかる。
退去の2日前、具合が悪くて今にも吐きそうだったけど、なんとか車に積んで処理場に持って行きました。
洗濯機が一番困りました。
ちょっと調子に乗ってドラム式のいいのを買ったのだけど、リサイクルショップも引き取ってくれない。
重すぎて処理場まで持っていけない。
仕方がないので電気屋さんに頼んだら、7千円くらい取られました。
もう本当にお金がない。
退去の日、寝ていた布団と少しの荷物以外はもうなにもない部屋になりました。
物を処分するのにもお金はかかったけど、他にも病院代もかなり使ってしまっている。
残りのお金は帰りの交通費と少し。
もう本当に出せるお金がない。
でもとりあえず出ていける。
大家さんのチェックが最後。
部屋を汚したりは一切していないので、なにも請求はないはず。
約束の時間に大家さんが退去のチェックに来ました。
大丈夫、のはず。
でも大家さんは言いました。
「この、洗濯機の排水口の蓋がないんだけど?」
知らない。
入居の時は引越し業者、
撤去の時はヤマダ電機の人に頼んで全然触ってない。
「ないならちょっと弁償してもらわないと困るな〜。」
思いもよらないところでお金を請求されました。
「ひとつ3000円なんだけど。」
そんなお金もう出せない。
そもそもそこにあったかどうかも怪しい。
今ならそう思うし、ちゃんと言えるのだけど、
その時はもう全然頭も回っていなかった。
「大家って言っても商売なので、支払ってもらわない事には困るんだよね〜。」
もう、、
ダメ。。
気がついたらその場で泣き崩れていました。
たった3000円が払えない。
こうやって、つぎつぎと、
息をしているだけでお金を請求されてしまう。
もう仕事もなくなったし、
お金も無いし、
でもわずかなお金までむしり取られてしまう。
涙がこぼれてとまりませんでした。
今思うと、かなり異様な光景だったのだろうなと思うけど、大家さんは言いました。
「病気治してさ、もう一回やり直せるよ。お金は大丈夫だからさ。」
さすがに泣き崩れている人からはお金は取れないよね。
もちろん計算なんてしていないし、する余裕なんて全然なかったけど、なんとか支払いは回避出来ました。
最後に部屋の掃除を済ませて、鍵を大家さんの家まで持って行きました。
渡されたのはソーセージを2本、そして封筒。
封筒には2千円だけ入っていました。
「この間徴収した町内会費、1年分だったけど、2ヶ月しか経っていなかったから、日割りして返すよ。」
この短い時間で町内会長さんに掛け合ってくれていたみたいです。
今思えば、
もしかしたら、大家さんがくれたものかも知れないです。
そのまま恵んでしまうのでは、わたしがミジメな気持ちになるので、知恵をまわしてくれたのかも。
どちらにしても、ありがたいです。
お金もそうだし、
今までどこに行っても、
何をやっても、
何もやらなくても、
次々とお金を取られていて、
もう絶望的な気分でした。
会社にも迷惑をかけて、とても優しくされるような状態ではありませんでした。
「車で何百キロも行くんだろ?これ食べて、コンビニでサンドウィッチでも買って、気をつけて行きなよ。」
正直具合が悪くてソーセージは食べられそうにないけど、でも気持ちが嬉しかったです。
いや、数時間後に運転中に珍しくお腹がすいて、ソーセージを食べる事が出来ました。
実家に到着して翌日、大家さんにお礼の電話をしました。
無事について良かったと、元気になるように祈っていると、言ってくれました。
今はまだローンを払いきれていないけど、
もう少し経済的に余裕が出来たら、なにかお礼を持っていきたいな〜って思っています。